所信表明 平成20年2月

 日本の経済は、回復基調とはいうものの、原油価格の高騰や海外の経済動向等による不安定要素を含むなかで、企業収益、雇用情勢等は依然として厳しく、景気の先行きも不透明となっております。さらに、国と地方の財政状況は、共に多額の債務を抱え、その健全化に努めていくことが求められております。

 地方自治につきましては、平成12年の地方分権一括法の施行や、その後の「三位一体の改革」により、機関委任事務が廃止され、税源移譲も行われたことで、地方分権は一定の前進をみましたが、残された課題も多く、現状では、本来の目的に沿ったものとは言い難いものという認識をいたしております。

 地方分権改革の本来の目的は、住民に、より近く、生活に密着した地方自治体に対して、できる限りの権限と財源を移譲し、住民と地方自治体の知恵と工夫と参加によって、地域にふさわしいサービスが多種多様に展開されることにございます。

 今、地方分権の第2ステージのなかで、市民の皆さんの負託を受け、佐倉市の市政運営にあたる責任者として、今後も、不断の行財政改革に努め、市民の皆さんの立場に立った施策を展開していくなかで、真の地方分権、地方自治の確立に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 さて、日本は現在、人、物、金、そして情報など、すべての分野において、東京を含む都市部への集中化が進み、都市部と地方部との格差問題が生じており、国民一人ひとりが必ずしも、その豊かさを実感できる状況にはないものと考えております。併せて、少子・高齢社会の進展、人口減少、高度情報化、国際化のなかで、福祉・教育問題、環境問題、安心・安全な居住環境の整備等、新たな多くの課題を抱えております。

 戦後日本は、私たちの多くの先人の努力により、世界に類をみない経済的発展を遂げ、世界の主要国としての地位を得ることができました。しかしながら、これまでの発展は、どちらかといえば、物の豊かさを追い求めるものであり、心の豊かさを併せて実感できるものではなかったのではないかと考えております。

 私は選挙公約の大きな柱として、私たちの郷土である佐倉市に愛着の持てる、「ふるさと佐倉」の創造ということを掲げさせていただきました。これは、物質的な豊かさのみならず、精神的な豊かさをも実感できること、市民の皆さん一人ひとりが、佐倉市民として確固とした生活と活動の本拠を持てる「ふるさと」を築いていこうとするものであります。

 豊かな自然、住みよい都市環境、地域における人と人との心の通い合い、市民の皆さんの自発性に基づくまちづくり、地域づくり、そして、家族団らん、これらは、私の目指す「ふるさと」の原点でもあり、地方が地方として自立し、魅力あるまちとなる原点でもあると考えております。物質的な豊かさと併せ、精神的な豊かさを重視し、これまでの経済発展の成果を、真の豊かさに結び付けていく必要性を痛感いたしております。

 市長就任2年目を迎え、私は、地域間の調和を図りながら、活力ある「ふるさと」を築いていくことが、地方分権社会の進展するなかにあって、これからの新しい佐倉市を創造することに通じるものと考えております。

 そのためには、日ごろの地道な努力の積み重ねを大切にして、市民の皆さんにお約束した政策の着実な実行に努めてまいりたいと考えております。

 平成20年度の佐倉市の財政状況でございますが、歳入につきましては、市税収入は横ばい、特別地方交付税の減少、地方特例交付金の増加等から、一般財源の収入総額は、大幅な増加を見込めない厳しい状況であると考えております。一方、歳出につきましては、人件費の減少はあるものの、市債借入金を返済する公債費は若干増加し、扶助費、国民健康保険・介護保険等への繰出金等の増加は避けられないものとなっております。今後、歳出の増加につながる構造的な要因といたしましては、少子・高齢社会、都市基盤の整備、市内各公共施設の改修等であると考えております。

 現下の厳しい財政状況ではございますが、持続可能な財政運営を確保しつつ、福祉、教育、地域産業経済の活性化に資する社会資本整備などに重点を置くなかで、公約に掲げた政策を着実に実行してまいりたいと考えております。

 次に、平成20年度の市政運営における主な施策について申し上げます。

 第1は、「安心できる少子・高齢社会の福祉の充実」であります。

 日本は、世界に類を見ない急速な高齢化が進み、少子化の進展とあいまって、少子・高齢社会へと移行し、併せて、総人口の減少を招来しております。今後、「団塊の世代」の大量退職等も加わり、ますます少子・高齢社会が進展していくものと考えております。

 このため、地域社会における、住民の高齢化により、健康づくりや生きがいづくり、老後を地域で豊かに過ごすための生活環境の整備と併せ、充実した医療・介護福祉など、行政に対する住民ニーズも高くなっていくものと判断をいたしております。

 一方、人口の減少は、税収や地域活力の減少となって現れ、子や孫を育ててきた世代の生きがいさえも奪いかねなく、地域の持続性を根本から揺るがす事態を招くことが懸念されます。また、少子化は、乳幼児が同年齢の仲間とふれあって育つ機会が少なくなるばかりか、健全育成が阻害され、自立した責任感のある社会人に成長する妨げとなるのではないかという危機感をも抱かせるものでございます。

 少子・高齢社会への対応は、国だけではなく、地方においても大きな課題であり、行政と地域住民の皆さんとが相互に連携し、協働して取り組むべき重要な課題であると考えております。こうしたことを踏まえまして、少子・高齢社会への対応を、自治体経営において継続的に推進し、心のこもった温かい福祉施策を展開してまいります。

 主な施策といたしましては、平成20年度から、乳幼児医療費を小学校就学前の通院まで拡大するとともに、グループホーム・ケアホームの整備に対する助成、学童保育所を新たに南志津小学校に開設、さらには、集中改革プランを見直し、敬老祝金や母子家庭児童入学及び就職祝金の支給等の継続をはじめとするひとり親家庭の自立支援、京成ユーカリが丘駅舎のエレベータ及び多機能トイレの整備など、福祉と健康のまちづくりを進めてまいります。

 第2は、「暮らしやすい生活環境の整備」であります。

 都市の持つ利便さと、農山村部が持つ豊かな自然を併せて享受でき、安心・安全で快適な暮らしを支える地域社会の形成は、市民の皆さんの共通の思いであり、市政を担わせていただいている私の願いでもあります。

 このようなまちを創造していくためには、市民の皆さんが日常の暮らしのなかで、安心・安全に対して感じている不安感等について、十分に把握をしていくことが大切であると考えております。そして、市民の皆さんが日々の生活のなかで直面する率直なご意見やご要望等を、できる限り市政に反映させてまいりたいと考えております。

 主な施策といたしましては、引き続き、地域コミュニティづくりや生涯学習の推進を図ってまいります。また、地域住民の皆さん方の長年のご要望でもございましたが、法律改正や、財政状況等から遅れておりました弥富公民館の整備を行い、南部地域の活性化の一助としたいと考えております。さらに、安心・安全の基礎となる防犯・防災に係る災害用資器材の備蓄、防災倉庫の災害用備品の整備、地域防災の担い手である消防団用施設の整備、交通渋滞の解消、安全性の確保などを図るための生活関連道路の整備等を進めてまいります。また、市民の皆さんの利便性をさらに確保するための電子自治体の推進、あるいは、環境施策といたしまして、快適な生活環境を守るための公害防止対策、佐倉市の代表的な自然環境であり、おいしい水・きれいな水の確保にもかかわる谷津環境を守るための保全・活用、資源の有効活用及び環境負荷の軽減を図るため、小学校給食残渣の市内リサイクル工場での処理、健康生活増進対策として、生活習慣病有病者及びその予備軍の減少を図るためのメタボリックシンドローム対策総合戦略の実施等を、着実に進めてまいります。

 第3は、「次世代を担う青少年の育成」であります。

 将来の佐倉市を担う子どもたちの健全な育成と、自立的精神に満ちた心身共に健康な子どもたちの成長、そして、歴史と文化の継承は、将来の佐倉市を創造していくための重要な側面であると考えております。

 現在は、核家族化、都市化、情報化の進展等の社会的な背景のなかで、市民の皆さんの生き方、価値観などが大きく変化しております。

 こうした状況を踏まえたうえで、今求められていることは、あらゆる可能性を秘めた子どもたちの、基礎的な学力と情操を育む教育、保護者はもとより、地域から信頼される学校づくり、いじめ、自殺、差別のない学校づくり、子ども、保護者、教師の信頼を増していくような教育環境づくり、少人数学級教育の推進等が挙げられるのではないかと考えております。

 私の願いは、佐倉に学んだ子どもたちが、挨拶ができ、良識を持って、知的に、冷静に、自己表現をできると共に、地域の持続的、安定的な成長のため、佐倉市を支えていける人材として育っていただくことでございます。必ずしも十分とはいえない厳しい財政状況ではありますが、「米百俵」の精神で、佐倉の子どもたちが学び、成長できるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

 主な施策といたしましては、教育環境の向上と耐震化を図るため、引き続き、小学校及び中学校施設の改築・改造、小中学校の図書館図書の整備等を進めてまいります。

 第4は、「産業経済の活性化と計画的な行財政運営」であります。

 厳しい財政状況のなかで、市民の皆さんからお預かりした財源を最大限に活用し、市民の皆さんの負託に応えるために、行政組織の見直しを行うと共に、行政組織内部の効率化に努めながら、引き続き、経費節減、あるいは、不断の行財政改革の取り組みを徹底してまいります。また、歳出の効率化と併せまして、新たな産業経済の活性化を図り、歳入の増加、歳出の抑制といった両面からの施策展開が必要と考えております。

 産業経済の活性化の主な施策につきましては、企業誘致助成金の交付や公有地などを利用した市内への新たな企業誘致、本社機能を有する企業、生産機能を持つ企業などの成長産業の積極的な誘致を促進してまいります。

 さらに、本年は、幕末に佐倉藩主堀田正睦公が主導した日米修好通商条約締結から150周年を迎える年でもあります。このため、日本の開国と幕末の佐倉をテーマにした展示会等を行い、先人たちのまちづくりを振り返り、市民一丸となったまちづくりへの契機とすると共に、佐倉市の魅力や可能性を市の内外に広く発信していくなかで、観光客等の交流人口の増加を図り、地域の活性化に結びつけてまいりたいと考えております。

 また、開園以来29年が経過した「佐倉草ぶえの丘」については、経年劣化に伴う施設の改修、利用者の安全確保と満足度の向上を図るための整備等を行い、観光資源の確保、充実に努めてまいります。

 佐倉のシンボルともいえる印旛沼湖畔の花火大会につきましては、3年振りに復活した昨年に引き続き、実施に向けた検討を行っていくと共に、20回目となる佐倉チューリップまつり等を開催してまいります。また、平成22年に開催される第65回国民体育大会『ゆめ半島千葉国体』で、レスリング競技とカヌー競技の会場となることから、その準備に万全を期してまいります。このため、「佐倉ふるさと広場」に接続する市道の拡幅整備、あるいは、城下町佐倉の景観を考慮しながら、旧国道296号の新町交差点からの電線類地中化工事の実施をはじめ、「佐倉城下町通り」の歩道の段差解消、都市計画道路の整備等を進めてまいります。

 計画的な行財政運営の施策といたしましては、市が現在取り組んでいる事業等について適切に評価し、その内容等を市民の皆さんに明らかにするとともに、必要度の高い事務事業の選定に努め、不要不急の事務事業について見直しを図り、真に必要な行政サービスを実施していくため、行政活動成果測定を実施してまいります。

 公共施設の維持管理につきましては、経済合理性の視点も考慮した経営的視点を持って、施設を総合的に管理、活用するファシリティマネジメントに関する事業等を実施してまいります。

 また、市政運営の羅針盤ともいえる総合計画につきましては、その中間見直しと併せまして、次期計画の策定に関する基礎調査を行ってまいります。

 第5は、「市民協働による自治運営の推進」であります。

 私は、昨年来、多くの市民の皆さん、たくさんの方々と出会い、貴重な御意見、御要望を伺う機会を得て、佐倉市に対し多くの思い、期待があることを知ることができました。私は、常に市民の皆さんの視点で考え、共に行動し、「ふるさと佐倉」を創造したいと考えております。

 私たちの身の周りに存在するさまざまな課題と活動は、市民の皆さんの「自助」の努力と、お互いに助け合う「共助」、そして税金を活用して事業や支援等を実施する「公助」のシステムが重なり合いながら機能いたしております。そこで、さまざまな課題について、地域に根付いた事業展開を行う事業者、公益活動を推進するNPO・ボランティア、一線を退かれた団塊の世代、シニア世代、自治会・町内会等の地縁組織等、まちづくり活動に意欲のある皆さんと行政とが、相互に存在意義を認め合いながら、共に知恵と技術、経験を結集し、地域の課題に取り組む市民協働の自治運営を、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 地方分権が本格化するなかにあって、地方が自立していくためには、健全な行財政運営のもと、情報公開、情報提供を徹底していくことが重要でございます。今後とも、市民の皆さんの視点に立った、分かりやすい市政運営に努め、佐倉市のまちづくりに関心を持って参加し、そして協働していただくため、市民公益活動推進事業及びコミュニティ育成事業等を推進してまいります。

 第6は、「都市計画道路勝田台・長熊線志津霊園関連区間の道路整備」であります。

 この問題は、佐倉市を東西に結ぶ幹線道路として計画された延長約13キロメートルのうち、上志津地区の約120メートルの区間に墓地があることから、その墓地を移転させていただき、都市計画道路を建設しようとした際に、佐倉市が支払った墓地移転に係る費用について使途不明金が発生し、現在も未開通となっているものでございます。これまで佐倉市は、問題解決のための「真相の解明と損害の回復」、「都市計画道路の早期開通」という二つの課題に取り組んでまいりました。

 本昌寺との交渉につきましては、平成18年8月から実質的に中断状態となっておりましたが、年明けの今年1月8日に、私が本昌寺に赴きまして、本昌寺住職と交渉を行いました。

 その結果、本昌寺住職からは、墓地移転に関して、当市からの提案に同意する旨の意思表示をいただき、佐倉市との最終的な合意を行って、この問題の解決を目指すという意向が示されました。従いまして、本昌寺に関しましては、今後、細部を詰めながら交渉の前進が図られるものと考えております。

 しかしながら、本昌寺を含む5か寺との交渉でありますので、話合いが不調となった場合には、私は、確実に道路を通さなければならないと考えておりますので、そのための準備をしておく必要がございます。そのため、今議会におきましては、土地収用法に基づく収用手続を進めることができるよう、平成19年度一般会計補正予算に債務負担行為を計上いたしております。

 私といたしましては、長年にわたり多くの方から寄せられた道路開通への御要望や、昨年市議会において、決議されました道路開通への願いを真摯に受け止め、関係者、議員各位をはじめ市民の皆さんの御理解、御協力を得ながら、毅然とした態度で臨み、長期化しているこの問題の早期解決を目指して、引き続き、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上、平成20年度の市政運営における主な施策について申し上げました。

 分権時代の地方自治は、画一的で横並びの施策にとどまることなく、自治体それぞれが、地域の良さや資源を再発見し、それらを有効に活用しながらまちづくりを行っていくことが求められております。

 併せて地方には、現在、少子・高齢社会への対応、格差是正、教育の充実、地域経済の活性化等、解決すべき課題も数多くございます。

 私は、これらの課題と正面から向かい合い、議員各位及び市民の皆さんの合意を得ながら、信念と責任を持って、誠実に取り組み、高い目標を掲げ、理想の実現に向けて努力してまいります。

 世界経済の動向等、先が見えにくく、激しく変動する社会のなかにあって、私は、常に初心を忘れることなく、調和のとれた佐倉市、真の豊かさを実感できる佐倉市を創造できるよう、さらに、力強く前進してまいりたいと考えております。

 人口17万5000人余を擁するに至った佐倉市は、歴史と自然と文化に恵まれ、かつ、果敢な進取性と優れた先見性とを合わせ持つ、限りない可能性を秘めた素晴らしいまちであると感じております。この可能性を最大限に引き出すことで、「住んで良かった」、「住んでいることを誇りに思える」まちづくりに努めてまいります。

 先に申し上げましたとおり、佐倉市の財政状況は、大変厳しいものがございますが、課題を先送りせず、一つひとつを確実に解決していきながら、次の世代に確実に引き継ぐふるさとづくりを進め、「子育てしやすく、学びやすく、働きやすく、老後を過ごしやすい、活力ある佐倉」を創造してまいりたいと考えております。

 私の政策の大きな目標でもある「ふるさと佐倉」の創造を目指して、これからも、誠心誠意、全力を傾けて取り組んでいく覚悟でございますので、議員各位並びに、市民の皆さんの御理解と御協力を、重ねてお願いを申し上げます。